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がんばれっ、オヤジ !
最近は、卒業旅行のシーズンで、NYは観光の学生が多い。
空港から、バスでホテルへ向かう道中、
みんな、にぎやかで楽しそう、遠足のバスのようだ。
各々のグループが、色んな会話や話題で盛り上がっている。

そんな中、1人で来たオヤジがいた。
まだ、40代後半といったところだ。
本来は、友達か誰かとくる予定だったみたいだが、
連れが急に来れなくなったらしく、1人だった。
そのせいか、幾分、他のお客さんたちと比べると寂しそうだ。

バスの中で、そのオヤジだけがツアーの申し込みをした。
他の学生たちは、ツアーには全く興味を示さず、
「丸2日しかないので、自分たちで好きなとこに行きまーす」
と言った具合である。良いことだ!
 
ホテルのフロントでチェックインのとき、20名ほどいたので、
部屋のカードキーを皆さんに渡して、お部屋に不都合の有る方や
質問のある人はロビーに戻ってきてもらうように言った。

解散後、1組の女の子たちが
テレフォンカードについて質問に来ただけで、
皆、早々と各部屋に散って行った。

フッと見ると、あのオヤジが不安そうに戻ってきて、
明日のツアーの集合場所と時間の確認をしたいとのこと。
バスの中で言った事を、もう1度繰り返し説明した。

しばらくすると、そのオヤジがロビーに降りてきて、
明日の朝早いので、モーニングコールを頼みたいという。
私は、ご年配の方やどうしても、という方以外は
自分でしてもらうようにしてるので、
電話かフロントで 
「wake up call, please! と言えば良いですよ」
 と教えたのだが、どうも、ピンとこないらしい。
仕方がないので、紙に wake up call, please! 
と書いたものを渡した。

それを見て、オヤジは、
「ウェ、ウェ、ウエィク、 ア、ァァップ、アップ、アップ、、、 これってアップ???」 
などと言っている。

そこで、さすがの私も、このオヤジはどうしても
私にモーニングコールを頼んでほしいんだなと
気がついたが、私はどうしてか「オヤジっ、がんばれー」
という気持ちが働いてしまい(笑)英語を書いた横に
カタカナのふりかなで 
「ウェイク アップ コール プリーズ 」 と書いた。
そして、オヤジはそれを口でモゴモゴいいながら
私の元を去っていった。

ふと、ロビーを見ると、さっき連れてきた中の、
学生カップルの女の子のほうが
ホテルのフロントに何か訴えている。
あわてて近づいていくと、シャワーのお湯がでないらしい。
「ちゃんと説明出来た?」 の、私の問いに、
「ハイ、何となく、、でも、通じてないかもしれません」
 というので、私がもう一度フロントに聞くと、
「Yes, I know it!」 という返事。
通じてたんだなーと嬉しくなって、
フロントから、さっきと違う部屋のカードキーを、彼女に渡すと
「ありがとうございまーす」 とさっそうとエレベーターに消えていった。

フッと気がつくと、さっきのオヤジが横にいるではないか!
「ど、どうしたんですか?」 と聞くと、
「今からエンパイヤ ステートビル(今NYで一番背の高いビル)
に登って、それからホテルの周りを
回りたいのだが、どうしたらいいか?」と聞いてきた。
私は 「暗くなる前に周りを歩いて把握して、
それからエンパイヤで夜景がいいですよ、今はすいてますから」 とアドバイスした。
オヤジは満足そうに歩いていった。

部屋にトラブルが有るといけないので 
「30分ロビーにいます!」 
と、お客さんたちに言ったものの、
不安だったので、もう少し残っている事にした。

すると、またあのオヤジが戻ってきて(笑)
「あのー、モーニングコールは
この紙どうり言えばいいんですね?」 
と、不安そうに聞いてきたので、
「ハイ、それで、大丈夫ですからね!」
と祈るような気持ちで返事をした。

あのオヤジ、今日、朝寝坊しなかったかな?
by namidaNY | 2006-03-01 11:29 | がんばれ
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